「カメムシが多い年は雪が多い」という言い伝えは、特に日本の雪の多い地域で古くから知られていますが、科学的な裏付けがあるかどうかは多くの人が疑問に思うところです。
この記事では、この言い伝えが本当なのか、科学的な根拠や実際のデータを基に解説していきます。
科学的な根拠なし
結論から言うと、「カメムシが多い年は雪が多い」「大雪になる」という説は科学的な根拠はありません。
カメムシの繁殖や活動が気候条件に影響を受けることはありますが、カメムシの多さと雪の量に直接的な関連性は確認されていません。
カメムシは気温や湿度などの環境要因に影響を受けて数が増減しますが、これが冬の降雪量に結びつくとは言えないため、この説はあくまで民間の言い伝えとして考えたほうがよいでしょう。
気象庁の見解は?
カメムシの多さと雪の量に直接的な関連性がないということを明確に示す科学的な証拠は、現時点では気象庁からのデータは公開されていません。
気象庁では、通常、カメムシの繁殖と降雪量との関連について特化した研究は行われていないと考えられます。
ただし、カメムシの繁殖や行動は気温や湿度などの気象条件に影響を受けることが知られており、同様に雪の量も気象条件に左右されるため、両者が同じ年に増えることがあるかもしれません。しかし、これはあくまで相関関係であり、因果関係があるとはされていません。
研究者や専門家の見解
研究者や専門家がカメムシと降雪量の関係を否定する発言をした例として、農業関係の専門家が「カメムシの発生は気候条件に影響されるが、冬の降雪量との因果関係は科学的に証明されていない」と述べることが多いです。
具体的には、富山県などでの長期観察結果によると、カメムシの飛来数が多い年と雪の量との間に明確な因果関係は認められないと報告されています。また、弘前大学の安藤名誉教授も、この言い伝えには根拠がないと述べています。
カメムシの活動が活発になるのは暖かい秋が続く場合などであり、これが直接的に降雪量に結びつくとは考えにくいという見解です。
過去の研究データ
「カメムシが多い年は雪が多い」という言い伝えに関して、日本の科学技術振興機構が運営しているJ-STAGEなどの資料を調査しましたが、科学的な根拠があるという証拠は見つかりませんでした。
まとめ : カメムシと大雪の関係は言い伝えだった
今回は、様々な角度からデータを確認しましたが、「カメムシが多い年は雪が多い」「大雪が降る」という説には科学的な根拠はなく、これはあくまで地域の経験に基づいた言い伝えと考えられます。
カメムシの繁殖や活動は気温や湿度といった気象条件に影響を受ける一方、雪の多さはより広範な気象要因に左右されるため、両者に直接的な因果関係は見られていません。
カメムシが越冬の準備をする時期に目立ちやすいことが、この言い伝えの背景にあると考えられます。