「カメムシには消毒用アルコールが効く」という噂を聞いたことがあるかもしれません。しかし、実際にはアルコールが期待した効果を発揮しないことがあります。
この記事では、なぜカメムシはアルコールで死なないのか、その科学的な理由を詳しく解説します。
カメムシは消毒用アルコールで駆除できない科学的根拠
バージニア工科大学のVTechWorksによると、カメムシの外骨格は非常に硬く、特にアルコールのような揮発性の高い物質に対して防御的な役割を果たしています。カメムシの外骨格はキチン質でできており、アルコールが内部に浸透することを妨げているのです。
また、フロリダ大学のIFASでも、カメムシに対する研究が行われ、アルコールはカメムシの成虫に対して十分な効果を発揮しにくいことが確認されています。ピレスロイド系の殺虫剤が最も効果的で、アルコールのような揮発性物質は、特に外骨格の硬い成虫にはあまり効きません。
さらに、MDPIの研究では、カメムシは外的刺激に対する防御メカニズムを持っており、アルコールの効果を軽減することがわかっています。このため、アルコールだけではカメムシの完全な駆除は難しいのです。
アルコールは虫の外殻を溶かし、乾燥させるって聞いたけど…
消毒用アルコールが虫の外骨格を溶かし、体内の水分を蒸発させるという説明は、小型の昆虫には効果的です。たとえば、蚊やハエ、トコジラミなどは、外骨格が薄く、アルコールが効きやすいです。
しかし、カメムシのように外骨格が硬く発達した昆虫には同じメカニズムが効きにくいことがわかっています。VTechWorksやMDPIの研究でも、アルコールがカメムシに対して十分に浸透せず、揮発するため、持続的な駆除が難しいことが指摘されています。
さらに、フロリダ大学IFASによる研究では、アルコールの揮発性が問題視され、カメムシに長期的な影響を与えることが難しいとされています。アルコールを使用する場合、動きを一時的に鈍らせることができるものの、駆除には専用の殺虫剤が必要です。
業務スーパーのアルコールスプレーはカメムシに効果的？殺虫剤との比較
業務スーパーで販売されているアルコールスプレーが、カメムシに効果的だという話を耳にすることがありますが、これは完全な駆除を期待するものではありません。
アルコールスプレーを使用すると、カメムシの動きを一時的に鈍らせ、弱るため、捕獲や処理がしやすくなるため、外に逃がす作業が容易になります。
ただし、フロリダ大学のIFASが示しているように、カメムシの完全駆除にはピレスロイド系の殺虫剤が最も効果的です。アルコールスプレーは持続的な効果を持たないため、あくまで補助的な手段として考え、完全な駆除を目指す場合は専用の殺虫剤を使用することが推奨されます。
まとめ: アルコールはカメムシ駆除には効果的ではないが補助的には使える
消毒用アルコールはカメムシに対して完全な駆除効果を持たないことが、複数の信頼性の高い研究機関で確認されています。
アルコールはカメムシを弱らせて、処理をしやすくするために使えるものの、外骨格の硬さやアルコールの揮発性のために持続的な駆除効果は期待できません。
完全な駆除を目指す場合は、ピレスロイド系の殺虫剤が最も効果的です。
アルコールをカメムシ駆除の補助手段として使用し、最終的な駆除には専用の殺虫剤を検討するのがベストな方法です。
